トニーニョ・オルタ

トニーニョ・オルタ

【W杯記念!
〜知れば楽しいブラジル音楽〜サンバやボサノバだけがブラジル音楽じゃない】vol.1
ブラジル、ミナスの風~トニーニョ・オルタ

MPB(Musica Popular Brasileira)は、「ブラジリアン・ポピュラー・ミュージック」という意味で、ブラジルにおけるボサノバ以降のポップスを総称して呼びます。サンバやボサノバの影響を受けながらも、多くはビートルズなどのロックからの影響も受けていたりします。MPBを代表するミュージシャンとして、エリス・レジーナ、エドゥ・ロボ、カエターノ・ヴェローゾ、ジルベルト・ジル、そしてミルトン・ナシメント等が挙げられます。

ブラジル内陸部にあるミナス・ジェライス州の州都ベロ・オリゾンチから出てきたミルトン・ナシメントはミナス州を代表するミュージシャンとして広く有名ですが、同じベロ・オリゾンチ出身のトニーニョ・オルタも、ミルトンのアルバムにギタリストとして参加していました。

トニーニョ・オルタは、パット・メセニーが大きく影響を受けたギタリストとして有名です。1990年代に入ってからは、矢野顕子のツアーに参加し、アルバムでも共演するなどしていて日本にもファンが多いです。

今回ご紹介するアルバム「トニーニョ・オルタ」は、1980年に発売されたセカンド・アルバムです。1曲目の「アキ・オー!」は、トニーニョのオリジナルですが、ミルトン・ナシメントの1969年のアルバム「ミルトン・ナシメント」にも、ミルトンのヴァージョンで収録されています。「アキ・オー!」はサンバの曲ですが、ミナス賛歌というべき、ミナスを歌っている歌です。

「アキ・オー!」(ライブ映像)

トニーニョらしさが出ているのは、3曲目の「ヴォオ・ドス・ウブルース(ウブルーの飛翔)」でしょう。

ヴォオ・ドス・ウブルース(ウブルーの飛翔)(音声のみ)

トニーニョのギター・ソロやサックスとのユニゾンがとても気持ちいいインストゥルメンタル曲です。このアルバムにはパット・メセニーも参加していて、5曲目の「プラット・フェイト(定食料理)」ではパット・メセニーの生き生きとしたギター・ソロが聴けます。

「プラット・フェイト」(音声のみ)

アルバム全体を通しても、風が吹き抜けるような爽やかさがあります。これらの曲からはジャズ・フュージョンの色合いが強く感じられますが、サンバやボサノバの良さを取り入れつつ、もっと自由に音楽の表現を楽しんでいるという感じが、MPBの音楽の特色といえるでしょう。