back number次世代せつなロックの雄
全世代に受け入れられる普遍のメロディーで快進撃を続けるback number。彼らのアップテンポな曲は、踊り狂わされるのではなく、メロディーに合わせて品良くノせてくれるのが何とも心地良いです。特に私のような90年代育ちの30代には彼らの楽曲が一層染みるのでしょう。それもそのはず、立て続けに大型CMタイアップで、そのTVCM15秒という短い時間で記憶に残るキャッチーな作り、イントロで表情を変える構成、センチメンタルなメロディーライン。これらは90年代的アプローチで、back numberメンバーが過ごした青春音楽のバックボーンでもあるのかもしれません。会場に流れるピアノを主軸に置いたイントロ、90年代を代表するプロデューサー小林武史氏とタッグを組んだ「ヒロイン」が流れると、切なくも甘い世界で客席に浸透させ、みな深い溜息をついていました。
https://www.youtube.com/watch?v=CsRgs9GBky8
Shiggy Jr.ラブリーポップの新星!
下北沢の好きなレコード屋でデカデカと展開されていた、江口寿史書き下ろしのオシャレジャケットに一目惚れ。視聴したら、サウンドも実にオシャレでキュート!これは絶対にライブを見たいと思っていたハイセンスでラブリーなポップユニットShiggy Jr.がCDJに初登場です。人気声優、豊崎愛生のような愛らしい声質を持つボーカル池田智子のハイトーンが、一層キラキラに光る絶妙なチューニングを施されたアレンジセンスがなんともニクい。ライブでもピッチがまるでブレない安定した唄声にも驚かされました。「サマータイムラブ」の持つパワーは「この1曲がかかったら、会場の空気が変わる」というキラーチューンに化ける可能性を感じました。
https://www.youtube.com/watch?v=-r5tLHTXhLg
the band apart縦横無尽、セッションの四輪駆動
ちゃちなポップさではなく、潔いセッションミュージックで真っ向勝負するベテランthe band apart。ボーカルと伴奏という力関係ではなく、全員が独立して輝いていて、彼らの追求する音楽の道を推進する四輪駆動車のようです。楽曲が持つリズム、躍動感に思わず体が反応し動かされてしまいます。複雑で技巧的、体験すると笑ってしまう程のグルーヴで、ギターやベースのストロークとドラミングの刻む音が、細かくステップを踏んでダンスしているかのような感覚も覚えます。
https://www.youtube.com/watch?v=nba_DfNBQI0
水曜日のカンパネラ陽気な妖術師
ASTRO ARENAに飄々と現れた水曜日のカンパネラ(以下、水カン)のコムアイ。初参加のCDJの会場に早々に妖術をかけ、笑いと口撃のショータイムが始まります。同年に初出演を遂げたRIJFで爪あとを残し、初見の観客の転がし方に一層の磨きをかけています。水カンの魅力は彼女のゆるいキャラクターやラップと、対極にあるビキビキなサウンド。普段TVやフェスなど、表には出て来ませんが、楽曲制作陣のセンスには脱帽です。野外フェスよりCDJのASTRO ARENAの方が音響や照明の演出上、一層フィットしている印象を受けました。日に日に「水カン」「コムアイ」と耳にすることが多くなるホットなプロジェクト。なぜここまで騒がれ、中毒者を続出させているのか分からない音楽ファンは、CD音源だけ聴くより、まずその目と耳で水カンワールドを体験することをオススメします。
https://www.youtube.com/watch?v=r9oBVKqID7g
the HIATUS帝王 細美武士による最上級の音楽体験
「CDJはお祭り感覚で音を楽しむ年越しイベント」と私は思っていますが、the HIATUSのパフォーマンスは100%お遊びで来ては行けない緊張感があります。傷つけられそうで近寄り難い、それでもそばに寄り添っていたい、そんなキリキリに張り詰めた繊細な音楽を表現する細美武士の世界。彼が体現する音の儀式は一番大きな会場EARTH STAGEにこそ最も相応しく、魂を震えさせる唄声と、リバーブの効いたピアノサウンドがその巨大な会場の天井から降りてくると、それこそミサを受けているような気持ちになります。宗教音楽のように神聖で重厚な構成力を持つthe HIATUSのパフォーマンスが、CDJ15/16で最も大きな感動的なアーティストでした。
https://www.youtube.com/watch?v=T48v5digyj0