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エイトル・ヴィラ=ロボス「ブラジル風バッハ ベルリン・フィル12人のチェリストたち」 エイトル・ヴィラ=ロボス
ブラジル風バッハ
ベルリン・フィル12人のチェリストたち


by 藤井憲治
2014/06/23
【W杯記念!
〜知れば楽しいブラジル音楽~サンバやボサノバだけがブラジル音楽じゃない】
エイトル・ヴィラ=ロボス作曲 ブラジル風バッハ第1番
~序奏(エンボラーダ)、前奏曲(モヂィーニャ)、フーガ(対話)


ブラジルといえば、音楽も陽気なイメージがありますが、激しく情熱的で、悲しみを内包した素晴らしい音楽があるのをご存じでしょうか。

私がおすすめするのは、エイトル・ヴィラ=ロボスのブラジル風バッハ第1番です。ヴィラ=ロボスは、個性的な人間で、学校の勉強にはあまりなじまなかったようですが、独学で作曲を勉強し、生涯に1000以上の曲を作曲しています。ブラジルでは、とても人気があり、紙幣に肖像画が描かれています。

日本では、ブラジル風バッハと訳されていますが、本来の意は、ブラジルの民族音楽とバッハの作曲様式を融合した、バッハ風でもあり、ブラジル風でもある音楽、という意味。

作品は、チェロ8本という極めて珍しい編成です。序奏(エンボラーダ)は、チェロが、冒頭から激しくリズムを刻み、劇的なメロディが顔を出します。独特なリズムが支配しながらも、中間部では、愛らしいメロディが心を打ちます。終曲部では、再び激しいメロディが現れて、一気にクライマックスを築き上げます。とにかく新鮮な響きとリズムとメロディの音楽なので、心を打ち抜かれる事間違いなし。続く前奏曲やフーガもとても魅力的な作品なので、知識など入れずに、直感で体験することをおすすめします。



ちなみに、自分とこの作品との出会いは、指揮の師匠村方千之先生が、日本ヴィラ=ロボス協会を立ち上げ、日本に数多くのヴィラ=ロボスの作品を紹介していたため、師の演奏会などで音楽を聴く機会を得られたことがご縁となりました。このブラジル風バッハ第1番は、師のレッスンでも厳しく指導していただいた思い出の曲でもあります。

ヴィラ=ロボスの音楽は、喜怒哀楽に富み、深い内容の音楽です。編成も、オーケストラや歌・ピアノ、ギターの曲などたくさんあります。 この機会に是非ヴィラ=ロボスの作品を聴いてみてはいかがでしょうか。

なお、おすすめのアルバムは、『ヴィラ=ロボス:ブラジル風バッハ ベルリン・フィル12人のチェリストたち』です。もの凄いエネルギーで、ベルリン・フィルの精鋭達が弾きまくっています。まるでロックのような疾走感!是非ブラジルの風を感じてみてください。
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