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ROTTENGRAFFTY NOBUYA(Vo.) -前編-

~東寺でのLiveについて~
2020/8/25


2019年、結成20周年を迎えたROTTENGRAFFTYが、
”ロットンの日"である6月10日に、ツアーのラストを飾る
地元京都の世界遺産 東寺でのLIVEを収録した映像作品
ROTTENGRAFFTY LIVE in 東寺』をリリース。

前半はそのステージとなった東寺の金堂にて、後半は休憩所にて、NOBUYA(Vo.)に、
東寺のLIVEを振り返りながら、バンドの現状やパーソナルなインタビューを敢行。






東寺でのLiveについて

東寺でLiveを行う事になった経緯

NOBUYA:2019年(去年)が、ROTTENGRAFFTYを結成して20周年の年だったので、20個のアイデアを考えて、ファンの方に喜んでもらえるような企画を作っていこうぜっていう中で、KAZUOMI(G./Programming)が"神社仏閣でライブが出来たらいいよね"みたいな、やっぱり京都のバンドやし、今迄そういう事もやってこなかったので、出来たらいいよねって。

自分の中にもその企画というか、アイデアはあったんですけど当然無理だと思っていたんで、スタッフにそのアイデアを伝える勇気もなくて…だから、"あ、KAZUOMI言ったな"と。

でも割と大人達の反応も"そういうところでLIVEが出来たらいいよね"みたいな好印象で"じゃあ動いてみます"みたいなところから始まったんですけど、自分の心の中ではたぶん無理やろなっていうところからスタートしていった感じです。


発表~当日迄のタイトな期間について

NOBUYA:発表する1週間前位に正式な決定がやっと決まったっていう形なので、6月の時点で(東寺に)興味を持っていただいて、そこから12月の頭まで、僕らの事や僕達のファンの事を知っていただく期間であったりとかして、また更に半年時間がかかって、じゃあやりましょうって決定したのが12月の頭ぐらいだったと思います。

日どりも、その日しかスケジュールが合わなかったり、東寺さんもそこじゃないとっていうのがあったので、そこ(2019.12.14)でやらせてもらいました。


東寺でのLiveが決まった時の心境

NOBUYA:やったー!っていう気持ちもあるんですけど、"決まったよ"って言っていただく前まで、ROTTENGRAFFTYが20周年イヤーで稼働しまくっていたので結構、疲労困憊で、"あ、そうか…"っていう。

喜びも当然あるんですけど、そこからその東寺に向けてのリハーサルであったりとか、舞台こうしようとか、セットリスト決めたりとかっていう時間が、そのバタバタの状況の中で、また更にやらないといけない事が増えるので複雑な心境ではあったんですけど、何より救われたのが、LIVEをやっていいよって東寺さんに言っていただいてすぐに発表した時のファンや、周りのバンドマンや友達、音楽業界や家族とか親戚の反応が、その前の年(2018年)に武道館やった時よりも反響がデカかったんですよ。"東寺でロットンやんの?"っていう。そこでやっぱり俺ら凄い事をやろうとしてんねんやなーっていうプレッシャーもあったような気がしますね。


東寺ならではの試み

NOBUYA:LIVEが1時間しか出来ないというのは元から決まっていたので、1時間で自分達が表現できるセットリストとパフォーマンスは凄く考えていたような気がしますね。当然、モッシュとかダイブとかは東寺では出来ないので、そこに対するお客さんのフラストレーションを、どうナビゲートしてあげようかなとか、そういうところも考えていたような気がしますね。


他のLiveと違った点

NOBUYA:ステージに立った時に、五重塔がライトアップされていたりとか、この広場に何千人って人がつめかけている光景であったりとか、44年間京都に住んできて、そんな光景とか見た事がなかったんで、いつもやっているライブハウスとかアリーナとかの光景と全く違うものであったし、"今からロットン何やってくれんねんやろう?"、"ワクワク!"みたいな、お客さんからの期待感みたいなのが凄くあったので、なんかそこでやっと高揚感が出てきたような気がしました。


NOBUYAさんのお勧めポイント (6/10発売の映像作品より)

NOBUYA:東寺のライブの前に、五重塔の前で年賀状の写真撮影が決まっていたので、リハーサルが終わってから1回楽屋に戻って、もう1回ここまで戻ってきて、五重塔で撮影をして、もう1回戻ってLIVEやったんですけど、その道中、夕方から夜になる時間帯で足元から何も見えない状況で普通に歩いていたら大きな溝があって、そこにはまっちゃって、"あ、折れた"って、のたうちまわりながら写真撮影をして楽屋に戻って、テーピングでグルグル巻きに巻いて本番に挑んだんですけど、めちゃくちゃ痛かったんです。"LIVE中はアドレナリンが出て痛さを忘れて"みたいな、そんなんも一切なくずっと痛かったんで、それに耐えながらLIVEをしている自分をDVDで見るじゃないですか、そこに感動したりします。笑

本当は東寺でLIVEが出来ている事が1番感動的であってドラマチックなんですけど、僕の中でもう1個ドラマが乗っかっているんで、それを知ったうえで見ていただけたら、また更に面白いかなと思います。笑


コロナショックの波及を受けて

Live等が制限されている中での活動

NOBUYA:この何ヶ月ずっと、いろんなアイデアを考えたりとか、そんな事をやってみたらどうかな、あんな事をやってみたらどうかな、みたいな事をスタッフに投げかけたりもしますし、今現在やっている事であったりとか、やる前から却下されて出来なかった事も最善の答えでは全然ないと思っていて。

別に僕らバンドマンって、タレントになりたくてバンドをやっているわけではないのですが、でもやっぱり今の状況だと、全てのバンドマンがタレント業みたいな事もしないと、メンバースタッフを食わしていけないよって言われている様な状況なので、そこにはちょっと心の中にいくつものクエスチョンが浮かびながらやっているっていうのは勿論あって、それが主流になっていくのは困るし。

でも今までライブハウスであったり、フェスであったりとかで、僕達に会えていたファンに、今現在の僕であったり、うちのメンバーであったりっていうのを見てもらうチャンスではあるので、そこでなんとか、音は鳴らしてないですけど、ファンの心を繋ぎとめておきたいっていうので、そこは大事にしています。ただそれをやり続けてタレントになるつもりはないよっていうのは強く言いたいですけど。

僕達の事を知ってくれている、僕達の事が支えだったっていうファンに向けて、僕達も笑えない状況ですけど無理矢理でも笑って、一緒に笑ってもらって、明日も頑張ろうって思ってもらえたらいいなと思って、配信トーク番組とかも頑張っています。


誤解を恐れずに伝えるとしたら

NOBUYA:ライブハウスに人をたくさん集めてライブ活動をするという、そこに向かう為の未来への第一歩を踏み出すっていう事も凄く大事だし、自分自身もそこに対して第一歩を踏み出せるんであれば、命がけでやらなアカンなと思って生きてきたというか…それでそのチャンスを与えてもらえるんやったら絶対に出ていこうと思っていたし。でも、出ていった時にもし自分が感染していたりとかして、気付かずに実家に帰って、うちの父親母親にうつして亡くなってしまったっていう事も考えてしまうような状況になったじゃないですか。それはメンバーもスタッフも来てくれているお客さんも一緒で。

そもそも命っていうものと音楽業界の未来への第一歩って天秤にかけるもんじゃないし、別次元の話だと思うんです。未来への第一歩を踏み出したいという自分の気持ちも嘘じゃないし、でもその自分が感染して、うつしちゃって、誰かが亡くなってしまったらどうしようっていう、命の大事さを思っているっていうのも絶対に嘘じゃないから、こんなもん天秤に乗せられたら困るわけで。

友達のバンドのメンバーで感染した人がこの半年の中でも何人か発表をしていたりするので、そういうのを見ていると、お前らが稼働するからうつされてるんちゃうんかとか、お前らが動いてうつされて、また誰かにうつしてんのちゃうの?っていうのを見かけたり聞いたりすると、その命の問題と未来への第一歩を、いきなり天秤に乗せられて世間が判断するみたいな状況って、はっきり言って狂ってるなと思ったし、天秤に乗せられるんであれば当然、命を取ろうぜっていう事をメンバーにも理解してもらいたいなと思ったし、そもそも僕はそんな事を天秤に乗せるもんじゃないと思っています。

こんなに自分自身が悩んだり迷ったり、時には言い合いになったりとかするこの状況を生み出している、僕らが信じて大好きだった日本という国の偉いさん方が、しっかりとした判断をしないし、そこに対しての補償をしないので、いろんな人達が悩んで苦しんで、時には言い争って、それでも生きているって言う事なんだと思っています。


今後の音楽シーンについて

NOBUYA:希望であるし、絶対そうなると信じているのは、やっぱりライブハウスがお客さんを入れて稼働している事であったりとか、全国にあったフェスがちゃんと戻ってくるっていう事。それは多分、100% 戻ってくると思ってるんですよ、今の状況をみていても。ただ今迄みたいな、300キャパのライブハウスに300入れるとか、これは多分なくなると思っています、正直。300キャパのところは200にしましょうねというルールに変わっていったりとか、感染予防は、入場時、終了時、あと換気の時間があったりっていうのが絶対に当然のようにこれから出来てくるやろうし、今まで出来ていなかった事はライブハウスも絶対に考えないといけないんですよ。それは今迄ライブハウスが手をぬいていた事なので。"今ライブハウス危機です手を貸してください"と言う前に、そこをちゃんと出来ていないライブハウスは、それを言うべきじゃないと思っているので、まずそこからやろっていうところだから。当然ライブハウスの稼働、フェスが戻ってくるっていうのは、絶対そうなると思っているけど、もう1回、考え直そうぜっていう、みんなが。

でもそこは心配してないですね。割とみんなでそういうのは言い合えているので。ライブハウスの人だったりとか、僕の見える範囲ですけど。バンドマンであったりとかも、当然戻ってくるやろうけど、戻ってきた時にちゃんと考えようって。だからそこに対して二度と戻ってこないんじゃないか、みたいな事は全く思っていないし。ただ年齢、自分自身の。笑

今年45歳になるんで、その状況が5年後に戻ってきた時、僕もう50歳なんで、5年前のパフォーマンスは絶対に出来ないじゃないですか。

…って考えると体を鍛えるしかないんですよね。だから毎日歩いています。笑


「ビバラ!オンライン2020」での怒りのパワー

NOBUYA:今回だけに限らず以前から怒りのパフォーマンスみたいな事は常に考えてやっていたので、自分の中の心の持ちようというか、おっしゃ!やったろう!っていう気持ちの原動力みたいなんが、怒りと有難うって気持ちの2つしかないので、時には有難うが強い時もあるし、時には怒りが強い時も当然あるので、それがもしかしたらデカかったのかもしれないですね、ビバラの時は。

ビバラの時は、お客さんがいない状況で演奏したものが配信で流れるっていうものだったと思うんですけど、お客さんゼロの状態でライブをやった事も初めてだったので、なんかね。。

でもやってみないと気付けるものも絶対ないと思っていたので、そんなチャンスを与えてくれたビバラに対してもめちゃくちゃ感謝していたし、やってみて思ったのは、例えばロットン結成当時、お客さんもそんなに入らなくて、2〜300のキャバで10人20人みたいな事はざらにあったのでいけるでしょ?みたいな事をいろんな人に言われたりするんですけど、その気持ちの持ちようとまた違うし、その時はこの10人20人を次に来た時に40人50人に増やしてやろうっていう気持ちでやってるんで。でもこの間のビバラの時は、はなっから居ませんっていうのを決められた上でやっているので、そこのベクトルとはまた違うじゃないですか。本番出る前に、ロットン結成当時の事を思いだしてやったらいいんじゃないの?みたいな事を言う人も居たんですけど、いや全然違うっていうのが、立ってみて改めて感じたりとか。

ビバラの配信がビバラオンラインLIVE…みたいな、ビバラロックっていうフェスが開催できなかったのでオンラインでやります…っていう認識で出ているじゃないですか。でもあれが"ビバラTV"っていうタイトルだったら怒ってなかったと思います。自分の怒りのパワーはもっと抑えながら有難うっていう気持ちのバランスの良いところでパフォーマンスが出来ていたのかもしれないなとは思いました。

自分の気持ちの持ちようだったんやと思います、正直。それをコントロール出来ないから、いつまでたっても僕はなんか凄いヤンチャに見えたりとか、凄いナイーブな人に見えたり、繊細な人に見えたりとかすると思うんですけど、完璧な人間が歌う歌ほど面白くないものってないと思ってるんで、やっぱり中途半端で、いつでも悩んでいて苦しんでいる奴が歌っている歌ってめちゃくちゃ響いたりするんで、それはそれでいいかなと思うんですけど。

"ビバラTV"っていうタイトルにしてほしかったなと思いますね。オンラインライブはちょっともうやめてほしいなと思いました。自分達がやるにしても、これからお客さんを入れずにオンラインライブやってみようぜってなったとしたら、オンラインライブってタイトルはつけんといてくれって言うと思います。


ROTTENGRAFFTY Vo.NOBUYA

20年以上の活動で変わらない思いと変わった思い

NOBUYA:初めの方は全員敵だと思っていたんで、いろんなとこで喧嘩を売ってきたし、"音楽をやる事=仲間を作る事"みたいな、なんかそこに対して凄い中指を立ててきてきたので、そこが間違っていたなって思って、中指を立てながら人差し指を付け足す事にしました。笑


海外での活動について

NOBUYA:この状況になっていなかったら、海外リリースみたいな事も考えていたので、それを引っさげて、アジア圏やヨーロッパのツアーっていうのは"やれたらいいね"みたいなところはいってたんですよね。でもこの状況になって、その企画も当然崩れていったので。

それをオンラインライブではなく、ロットンが発信できる、"ロットンTV"みたいなところで、僕らがパフォーマンスをした配信を全世界に流す事が、もしかしたら世界への第一歩の近道なんかなぁ、みたいな事もちょっと考えたりしています。


【後半~ 一問一答~ へ続く】


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