NEWS > 2016 > COUNTDOWN JAPAN 15/16 / ミュージックソムリエが見た現地の様子とは?【4:石井由紀子】


COUNTDOWN JAPAN 15/16
ミュージックソムリエが見た現地の様子とは?
2015年12月28日・29日・30日・31日/幕張メッセ国際展示場1~11ホール、イベントホール


【4.12/30〜1/1レポート by 石井由紀子】

2016/01/29


12月30日 / 2015年 残り48時間未満 仲間と過ごすライブ納め


30日という日付を見ると、いよいよ今年も終わりになるなと実感してしまう。この日からは、遠方から泊りがけでやってくる観客も増え、会場はより一層賑やかな雰囲気になる。ライブだけではなく、フェスめしを食べながらお酒を飲み仲間とくつろぐ人、がちゃがちゃを回してオリジナルグッズを集める人など、それぞれが多種多様な楽しみ方をしている。年末のお祭りが、佳境に入ってきた雰囲気だ。


Little Glee Monster (ASTRO ARENA)


ライブを見た後に、移動中のお客さん同士の感想が耳に入ってくることがある。Little Glee Monster略してリトグリの場合、”声量がすごい。カッコイイ”や、”あれだけカラオケとかで歌えたら気持ち良いだろうなー”と興奮気味に話す人たちの声が聞こえてきた。 リハーサルの時点から、5人の作り出すハーモニーは美しく活き活きしていた。本当に平均年齢16歳なんだろうか?と思うほど。そして本番。メンバーの個性に合わせた白い衣装に色違いのヘッドホンを首にかけて登場。バンドと共演したり、アカペラで歌ってみたり。「放課後ハイファイブ」から、アナと雪の女王の「Let It Go」まで幅広く歌う。歌声とハーモニーが、ステージ上を縦横無尽に駆け回るようだった。ラストの「好きだ。」では、歌詞に想いを込めながら紡ぎあげるハーモニーを聞いて鳥肌が立った。幸せな気分にさせてくれる年末のステージだった。


back number (EARTH STAGE)


歌詞も影響しているからだろうか、なんとなく後ろ向きや女々しい、というイメージがついているように感じる、back number。しかし、ライブで見せる彼らからは、そういうイメージは一切なく、情熱的でアグレッシブな印象の方が強い。厚みのあるバンドサウンドと、”踊れ!”と言い放つ、ギター・ヴォーカル清水 依与吏の声に合わせて、EARTH STAGEが揺れる。強く厚みがある演奏に乗せて歌われる「SISTER」や「クリスマスソング」は、優しさと強さも備えた最上の曲として披露される。イントロが流れると、会場からは喜びの歓声がフワッと湧き上がる。歌詞の世界は甘いが、演奏も合間のトークも少し攻撃的。このギャップがたまらない。優しさと強さの抱き合わせから感じるイケメン具合が何とも心地よい。音源でも楽しめ、ライブでも違う一面を見ることが出来る。両方で存分に楽しませてくれる、最高のバンドだと実感したステージだった。


12月31日 / ライブ納めとライブ初め 気合が入る最終日


いよいよカウントダウンまで24時間を切った。この日だけはスタートが午後2時からと比較的遅め。スタート時間こそ、緩やかな雰囲気が漂いつつも、どのステージでも観客のテンションは4日間の中で最も高い。2015年に悔いがないように、はしゃぎ納めをする準備は万全だ。



サルの着ぐるみ帽子を身につける人や、2016年がデザインされたサングラスをかける人など、思い思いの格好でやってくる。オリジナルグッズが入った福袋の販売もあるので、ライブと共に福袋ゲットのために並ぶ人の姿もみられる。会場は、4日間の中で最も人数が多いだけあり、どこも大混雑の様相だ。


Charisma.com (ASTRO ARENA)


ASTRO ARENAに、続々と集まる人々。気づけば開演前のステージ前のアリーナスペースは、満員になった。ゴンチのDJプレイから始まり、盛り上がった会場にダンサーを従えた、いつかが登場し「オツボネロック」からスタート。誰もが職場や学校にいる、イラつくアノ人のことを思い浮かべながら盛り上がる。年末最後の憂さ晴らし、と言った感じだ。鋭いラップと、それを乗せるトラックのカッコよさだけでも、充分に魅力のある2人だが、ステージではダンスが加わりスクリーンには毒のある歌詞が音楽に合わせて鋭く映し出される。今日は紅白歌合戦にちなみ赤色の衣装でキメてきた2人は、日本で一番攻撃的な女性アーティストだろう。「イイナヅケブルー」や「HATE」など次から次へと繰り出し、2015年の嫌なことをぶった斬ってくれた2人。2016年もこの2人の快進撃は、まだまだ止まらない。


ドレスコーズ (COSMO STAGE)


2015年も残すところ、あと2時間を切った22時15分のCOSMO STAGE。ドレスコーズの志磨遼平がステージに現れた。しなやかだけれども情熱と色気が同居するライブが始まった。ステージをゆらゆらと移動しながら歌う姿は、孤高のロッカーといった感じだが、MCを挟むと観客との距離がグッと縮まる。歌う姿と話す姿、いい意味での裏表があることが、ドレスコーズのライブをより魅力的に見せているように感じる。「ゴッホ」や「ビューティフル」の他にも、毛皮のマリーズの「ボニーとクライドは今夜も夢中」をセルフカヴァーするなどして、COSMO STAGEの観客をどんどん引き込んでいく。2015年最後を、美しいロックで締めくくったライブだった。


10-FEET (EARTH STAGE)


いよいよカウントダウンの時間が迫ってきた。多くの人がどのアーティストを見ようかと悩み抜いて決断を下して会場に向かう。やはり10-FEETで、新年の瞬間を過ごしたい人は、楽しく騒いで最高の笑顔で2016年を迎えたいのだろう。集まる人々から、心から楽しんで騒いでやる!といった意気込みが、ひしひしと伝わってくる。メンバー登場と共に、観客の大きな歓声が会場を包み込む。観客も、期待と緊張が入り混じった状態でステージを見ているようだった。TKUMAに煽られ、より盛り上がる会場だったが、1曲終わるごとに「また会いましょう!」とライブ終了・・・といった寸劇が繰り返される。それもまた楽しみのひとつだ。「STONE COLD BREAK」そして「goes on」では、観客をしゃがませての一斉ジャンプ!など、ステージと観客が一体となったライブは続く。 気づけば、2015年も残すところ、あと僅か。観客側にダイブをしたいと言い出すTAKUMAを制止するメンバー、スタッフともみ合っているうちに・・・なんと3人が猿の姿に変身し、いよいよカウントダウン。1秒ごとに、男性女性が代わる代わるしゃがんはジャンプを繰り返し、ゼロの瞬間にみんなでジャンプ!を、ぶっつけ本番で行って、晴れて全員がジャンプをして2016年を迎えた。



新年は、「RIVER」でスタートし、MAN WITH A MISSIONのjean-Ken JohnnyとTokyo Tanakaが参加しての「super stomper」など、嬉しいサプライズもあった。2015年の最後を全力で盛り上がり、新年も早々に汗だくになりながらライブを楽しむ観客がたくさんいた。誰もが笑顔でカウントダウンを行った、素晴らしい時間だった。


SCANDAL (GALAXY STAGE)


2016年1月1日 午前3時。こんな時間にも関わらず、まだまだ多くの人が会場で音楽を楽しんでいる。この時間のGALAXY STAGEも、もちろんほぼ満員。ステージの先には、SCANDALの姿がある。「stamp」からスタート。少しゆったりと体を動かしながら、幸福感に浸りながら楽しんでいたのも束の間、「EVERYBODY SAY YAEH!」などアップテンポの曲で観客のテンションをどんどん上げていく。お揃いの黒いコンバースのハイカットを履いているメンバー。キュートなルックスに、骨太のロックを演奏する技量。両方を兼ね備えるハイブリットバンドであることを、観客に見せつけるようにライブは展開されていく。「少女S」でソロを披露していく姿は、カッコイイの一言に尽きる。深夜3時のゆるやかな雰囲気を破り、ロックに染め上げていったライブだった。「太陽スキャンダラス」と「Image」を披露してライブは終了。2016年は、バンド結成10周年の年。アルバムも発売になるなど、多くの話題を振りまいてくれる彼女たち。2016年も大いに楽しませてくれそうだ。


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石井由紀子 ミュージックソムリエ
フリーアナウンサー。TBSラジオでの音楽紹介や、雑誌・Web媒体でのレコメンド記事を執筆しつつ、足繁くライブハウスに通う音楽ファン。初回のCOUNTDOWN JAPAN03/04からフェスは参加している、フェス大好き人間。おひとり様フェスが常態化している。

酒井康平 (さかいこうへい) ミュージックソムリエ
元音楽プロダクション勤務、現ネット会社のエンタメ部門に所属する30代♂。よく聴く音楽は60年代ソフトロックと松田聖子。最近のマイブームは90年代ディズニー映画第2黄金期を支えたアラン・メンケンの楽曲分析。学生時代はクラシックを専門にし、日本のロックはどのアーティスト、どの曲から入って良いか分からないまま生きてきた過去を持つ。2013年に"音楽フェス童貞"卒業を果たし、少しずつ音楽フェスに顔を出すようになる。いつか涼しい顔でタイムテーブルを語れる日を夢見ている。



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