NEWS > 2017 > COUNTDOWN JAPAN 16/17 / ミュージックソムリエが見た現地の様子とは?【3:前川颯也】


COUNTDOWN JAPAN 16/17
ミュージックソムリエが見た現地の様子とは?
2016年12月28日・29日・30日・31日/幕張メッセ国際展示場1~11ホール、イベントホール
2017/03/13


“チームあゆみくりかまき”の凄さを目の当たりにした圧巻ステージ
あゆみくりかまき(2016.12.29 12:00〜 COSMO STAGE)


COUNTDOWN JAPAN16/17(以下CDJ)、私が真っ先に見たのは、COSMO STAGEのトップバッター、あゆみくりかまき。ステージに置かれた3つのお立ち台が、ダンスグループであるということを主張しているようでした。

登場と共に、会場はダンスフロアへと大変身。歌いながらも、キレキレのダンスを披露する彼女たちに呼応するように盛り上がるオーディエンス。3曲目に披露したデビューシングル「鮭鮭鮭」で、盛り上がりは最高潮に達し、多くの人がいっそう激しく踊り歌う姿が印象的でした。

3人のステージパフォーマンスはもちろんのこと、私が注目したのは、バックバンドの凄さ。どんなにテンポの早い曲であっても、一定のリズムを刻みながら、彼女たちと息を合わせたパフォーマンスを行っていきます。演奏とダンス、歌の一体感。”チームあゆみくりかまき” が創り出す空間が、オーディエンスを心地よく踊らせていることを実感しました。

ラストは、2016年4月発売の『あゆみくりかまきがやって来る!クマァ!クマァ!クマァ!』に収録された「ナキムシヒーロー」。MCで、武道館ライブをやります!と宣言していた彼女たちですが、「ナキムシヒーロー」の歌詞の通り、夢を実現させてほしいと思いました。


贅沢なアンサンブルに包まれて締めくくる2016年
スキマスイッチ(2016.12.29 13:05〜 GALAXY STAGE)


ライブ活動開始から、約15年もの年月が経っているスキマスイッチ。満員のGALAXY STAGEは、ライブ開始を今か今かと待つ人々で埋め尽くされていました。

今回のライブは、サポートアーティストが多くいる賑やかなステージでしたが、印象的だったのがサックスとトランペット。スキマスイッチの曲の雰囲気はシッカリ感じつつも、音に厚みがあり、とても贅沢なアンサンブルを形成していました。グルーヴ感のあるライブでは、オーディエンスは思い思いに体を揺らし、楽しんでいました。

代表曲である、「奏」「ガラナ」と続き、ライブのラストは「全力少年」。イントロが流れた瞬間、歓声と拍手に包まれました。会場も一緒になって歌い、アーティストとオーディエンスが、まさに一つになったのを体感したステージでした。


大阪発!産地直送のハードコア・パンクをお腹一杯に!
GOOD4NOTHING(2016.12.29 13:55〜 ASTRO ARENA)


13回目のCDJで、出場回数10回を誇る、GOOD4NOTHING。
幕張の会場で体感する、大阪のライブハウスのステージに圧倒されました。

ハードコア・パンクバンドの彼らは、派手に歌い散らすスタイルだけど、サビは三重唱で心地良い。美しいハーモニーではなく、力強く叫ぶような三重唱なは、聴く人の体に訴えかけるような力強さと、心地よさがありました。

さらに注目するべきは、バンド編成。ベースがツインベースというだけでも驚きですが、ドラムスはワンバス。演奏すると、ベースは大きすぎず、バスドラとシンクロしているので、リズム隊がどっしりと構えていてバンドの力強さを体現しているのがよく分かりました。

ライブは、MCを一度挟んだだけで、あとはノンストップで曲をやり続けるというストイックさ。約30分で9曲を演奏しきったライブは、まるで嵐のように過ぎ去っていきました。ちなみに、セットリストは最新3アルバムからの選曲が多く、シングルは「Right Now」「IN THIS LIFE」「LOVE SAVES ALL」の3曲を披露。お腹一杯に、大阪発パンクを堪能できました。


神秘的で美しいハーモニー。Kalafinaの魅力を体感。
Kalafina(2016.12.29 15:30〜 MOON STAGE)


アニメ「アルスラーン戦記」を始め、多くのアニメとのタイアップ曲を発表してきているので、アニソンファンにはおなじみのアーティスト。アニメ好きはもちろんですが、そうではない人もぜひ彼女たちの音楽を楽しんでもらいたい!強くそう思うステージでした。

ライブでは、バックバンドの音量が抑えめにされていたことで、彼女たち3人の歌声が際立ち、会場に響き渡る歌声は、神々しさすら感じるほど。また、3人とも非常に広い音域を歌いこなしているので、音が自由自在に動き回るようで、心が解き放たれるような、不思議な雰囲気もありました。
そして、3人の振付の優美さも、歌の世界観を膨らます素晴らしい演出でした。

完璧なパフォーマンスとは裏腹のMCでのオフ具合も、魅力的。歌声の力強さと甘美さとともに、時折見せるお茶目な姿。3人の魅力が十分に詰まったステージでした。


大人の余裕とはこのことか!!ゆるさとカッコよさの共存に痺れる。
ユニコーン(2016.12.29 17:00〜 EARTH STAGE)


マイペースでゆるり、でもカッコイイ大人。それが、私のイメージしているユニコーンです。
きっと会場も、30代〜40代くらいのオーディエンスが、のんびりライブ開始を待っているのか…
と思いきや、意外なことに20代の若い女性客も多くいたことに驚きました。
某石油会社の貝モチーフをあしらったようなツナギを着たメンバーが登場すると大歓声が起こり、前へ前へと人が押し寄せ、ライブはスタート。

奥田民生が、グビっと缶ビールを飲みつつステージを進めていく様子は、ゆるいけどカッコイイ。
全員タブレットを見ながら演奏するのも、カッコよく見えるのは、彼らくらいのものだろうなと思いました。ちなみにこの日は、仕事納めだったらしく、ステージには、スパークリングワインやビールなども置かれていました。

ライブは「WAO!」など再結成後のものが中心でしたが、「大迷惑」や「雪が降る町」も披露。
新旧の楽曲を織り交ぜながら、あらゆる年代のオーディエンスを盛り上げる彼ら。
大人の余裕に痺れまくったステージでした。


スターアーティストのパフォーマンスに、ひたすら感動!
[Alexandros](2016.12.29 18:15〜 EARTH STAGE)


幕張メッセの3ホール分をブチ抜きにしたEARTH STAGE。ここを超満員にできるアーティストこそ、人気実力の両方を兼ね備えるスターアーティストなのだと思うのです。
この日の大トリを務めた[Alexandros]のように。

2016年11月発売のアルバム『EXIST!』収録の「ムーンソング」から始まったライブは、1音目が鳴った瞬間からオーディエンスが飛び始め、会場はグラグラと揺れました。この揺れが、[Alexandros]の登場を待ちに待った人たちの喜びそのものを表しているようでした。2曲目は「Girl A」、3曲目は「Kaiju」と最新アルバム『EXIST!』からの作品を立て続けに演奏しました。

CDJには、[Champagne]の頃から出演を続けている彼ら。オーディエンスも、EARTH STAGEまで上り詰めた彼らと共に、この大きな会場のライブを楽しんでいることが伝わってきました。[Champagne]時代の「Kick & Spin」や「Starrrrrrr」ももちろん披露し、会場は大盛り上がりに。

洋楽を思わせるリズムの良さと、ギター&ボーカルの川上洋平が操る流暢な英語と、遊び心も感じる日本語詞。これらが重なり合うからこそ、[Alexandros]は唯一無二の存在感を放ち、輝くスターなのだということを痛感したライブでした。


大御所のシークレットライブのような。多くの名曲に触れた60分
佐野元春 & THE COYOTE BAND(2016.12.30 13:30〜 MOON STAGE)


ここまでの大御所アーティストのライブを、近距離で楽しめるなんて。
まるで、シークレットライブに来たかのような贅沢さを味わえるのも、フェスの魅力です。

革ジャンに短髪のニュールックで登場した佐野元春。今までの比較的長めの髪型に慣れていたため、最初は少し不思議な感じはありましたが、2015年発売のアルバム『BLOOD MOON』収録の「優しい闇」が始まり、彼の歌声が響き渡ると、そんなことはどうでも良くなってしまいました。

ライブは、『BLOOD MOON』収録曲を中心に構成されていましたが、ラストはなんとデビュー曲「アンジェリーナ」。イントロが鳴り響いた瞬間、オーディエンスからは、悲鳴にも似た歓声が聞こえました。まさか、この近距離の会場で、「アンジェリーナ」が聴けるとは…。
2016年、数々のライブや音楽を楽しみましたが、この曲がライブで聴けたことが、何よりの収穫だったと言っても過言ではありませんでした。


きらびやかな音とDJのスクラッチ。多くの人を虜にするライブ
Suchmos(2016.12.30 17:35〜 ASTRO ARENA)


サウンドチェックでは、ジャミロクワイの「Virtual Insanity」のイントロを披露するなど、彼らの音楽性の元となったものを観ることができました。確かに、打ち込みではなく、生楽器を使用しているところも、二者はよく似ているなと感じてしまいました。
ASTRO ARENAは、2階の座席もほぼ満員状態。開始を待つ人々で埋め尽くされていました。

シェイカーによる波の音から始まった1曲目は「Pacific」。
彼らが作り出すきらびやかな音、DJによるスクラッチは、何度聴いても魅力的。
ジャミロクワイ的な音楽へのアプローチも感じるところがあり、とにかく個性が際立っていました。

ライブ3曲目は、2017年1月25日発売のニューアルバム『THE KIDS』からの1曲「A.G.I.T」。新曲でも、オーディエンスは音に身を任せて踊り始めた姿が印象的でした。4曲目は、ホンダ ヴェゼルのTVCMで使用されている「STAY TUNE」。言わばキラーチューンのようになっているこの曲には、ASTRO ARENAの2階席からも歓声が上がりました。
ライブのラストは「MINT」。会場は大盛り上がりで終了しました。


レジェンドによる、ロックでグルーヴィーなライブ
麗蘭(2016.12.31 17:35〜 MOON STAGE)


仲井戸麗市(以下CHABO)と土屋公平(以下蘭丸)が1991年に結成したユニット、麗蘭。
その名を聞くだけでも、畏怖の念が湧いてきます。このユニットを、またもや近距離のステージで見られるなんて。CDJに心から感謝したいものです。

アクセントを効かせた衣装でCHABOと蘭丸が登場。もう見た目だけでカッコイイ。そんな彼らの1曲目は、結成25周年を記念して作られた3枚目のオリジナルアルバム『25』の1曲目を飾る「マニフェスト(we are the Lay-Run)」。曲が終わり惜しみない拍手が湧き上がると、CHABOがもっとやれと言わんばかりに手を上げてオーディエンスを煽る。オーディエンスが、それに応えると「うるせぇ」と一蹴。ロックンロールだなぁ…なんてカッコイイんだ…。

続いて、同アルバムからの「紅 く・れ・な・い」。CHABO曰く、きれいな海や空がずっとあり続けてほしいという思いで書いた曲、とのことで、”人間のうぬぼれ”や”思い上がりなどの小ささ”を、むせび泣くギターにのせて歌いました。
スローな曲をブルージーに歌うCHABOと、超絶ギタープレイを披露する蘭丸。

ラストは、「Get Back」でクールに締め、ステージ終了。

2人からは、RCサクセションと、ストリート・スライダースのニュアンスとルーツミュージックの香りが感じられ、グルーヴ感という言葉は、まさにふさわしいことを痛感しました。


THE YELLOW MONKEY
(2016.12.31 25:00〜 EARTH STAGE)


12月31日25時。4日間にわたるCDJのEARTH STAGEの大トリを務めたのは、THE YELLOW MONKEY。紅白歌合戦の出演を終えて、幕張の会場に駆け付けた彼らが最初に演奏したのが、「パンチドランカー」でした。これには、オーディエンスもヒートアップ。

しかし、2曲目「SPARK」の終わり部分から、ボーカル・ギター吉井和哉の声に異変が。
いったんメンバーはステージ袖に戻り、15分後にステージ再開のアナウンスが入りました。

15分後、無事にステージに戻ってきたメンバーは、オーディエンスから、これ以上ない拍手と声援で迎えられ、ライブは無事に再開。「声が出なくなっちゃんだ。一緒に歌ってくれるかな。」という吉井からの要請に、大合唱したのは、「バラ色の日々」。そして、彼らのワンマンライブでもラストを飾ることが多い「悲しきASIAN BOY」が、この日もラスト曲に。
”イエッサー”の掛け声や、サビの部分でオーディエンスは一斉に手を振る。

COUNTDOWN JAPAN 16/17 EARTH STAGEを締めくくるライブは、最高に盛り上がり、オーディエンスがみんな笑顔で歌う姿が印象的でした。


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前川颯也 ミュージックソムリエ
愛知県出身、歌謡曲からHR/HMまで幅広いジャンルの音楽を聴き漁る21歳。基本的にアナログ盤第一主義。
最近は最初に発売されたCDとリマスター盤CDを聴き比べるのがマイブーム。自身のバンドではドラムを担当。
自分の目で見て耳で聴いて肌で感じた事を文章を通じて共有していきたいです。



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